タイケさんの独り言

徒然なるままに、日々の事や思い出を書き込んでみたいと思います

死者の学園祭

久しぶりに赤川次郎さんの小説について書いてみます。

結構、初期の作品で、赤川次郎さんの作品に興味を持ち始め、最初に買いあさって、むさぼり読んだ中にあったものです。

 

ソノラマ文庫

朝日ソノラマ(2007年に廃業)から出ていたソノラマ文庫で最初に買いました。このレーベルから赤川次郎さんは、”赤いこうもり傘”、”幻の四重奏” という小説も出されていますが、一番 好きなのが、この作品です。もちろん、他の作品も買って読みました(笑) どれも面白かったです。

ちなみに、ソノラマ文庫は、アニメ化されたSF作品を手がけていたレーベルで、アニメ好きの自分は、”機動戦士ガンダム”や、”クラッシャージョウ” なんかも買って、読んでいました。

 

f:id:hidetaka_taike:20210516112832j:plain

この小説の主人公は、”セーラー服と機関銃” 同様に女子高校生。次々にクラスメートが不審死で亡くなっていく謎を、恋人や友達と追いかけていくストーリーです。

 

学園ミステリー

赤川次郎さんの小説は、ユーモアミステリーと呼ばれる作品が多いですが、その中でも、高校生を主人公にして、学園で起きた謎を解いていくものが多く執筆されています。今では、高校生や少年少女を探偵にした小説や漫画が数多くありますが、当時(1980~1990年頃)は、そこまで無かったのではないでしょうか?

学園小説、青春小説といった作品は昔から見られるジャンルの小説ですが、そこにミステリー小説の要素を組み入れた学園ミステリーという言葉は、この頃に一般化されたものかと思います。

学園ミステリーは、”セーラー服と機関銃”、”ねらわれた学園”、”時をかける少女”、”青春共和国” など、数多くの作品が映画化される事になり、多くのアイドル女優 (??) が生まれました。セーラー服と同様、映画館に通って、観たものです。

 

今でも大好きな作品の一つ

「真知子、ねえ、真知子。-ここよ、ここよ!」

と、主人公を呼ぶクラスメートが立っているのは、学校のベランダの手すりの上。早く降りるように呼びかけると、「分かったわよ」といって、手すりの内側ではなく、外側に飛び降りてしまう。校舎の4階から、クラスメートが飛び降り自殺をするのを目の当たりにした主人公は、その後、別の高校に編集し、そこで新たに3人のクラスメートが謎の死をとげていく事件に遭遇してしまいます。

先にも書いたとおり、その謎を主人公は恋人や友達と一緒になり、女子高校生探偵として謎解きをしていくのですが、最後に待っていたのは、意外な犯人,そして、一緒に謎解きしている恋人や友達だけでなく、主人公の両親も実は、その謎の正体を知っていたという、衝撃の事実でした。

本のタイトルは主人公の恋人が全ての謎を明らかにする為に準備した文化祭の舞台劇『死者の学園祭』からとってあり、その劇の中で、死んだ3人のクラスメートの魂が、自分たちを殺した犯人、そして殺されなければなかった理由を知っていくという内容になっています。

その劇を観ていた主人公は、次第に、自分だけが謎の真相を分かっていなかったのだという事に気づき、悲しみに包まれていってしまいます。

 

読み始めていくと、最初は ”セーラー服と機関銃” の様に主人公が活躍する物語かと思ってしまいます。途中までは主人公が色々な謎を解いていくし、ヒントを見つけていったりもしますから。。。

でも、最後には真相を知らなかったのは主人公だけだったという事が分かり、最初のシーンに出てきた飛び降り自殺をしたクラスメートの様に、恋人の前で飛び降り自殺をしようとしてしまいます。自殺は思いとどまり、恋人と共に、明日に向かって歩いて行こうと決意するところで小説は終えるので、最後は 良かったな! という気持ちで安心しました。

 

f:id:hidetaka_taike:20210516113201j:plain

 

この本は、その後、角川文庫からも発刊されていますし、漫画化もされました(タイトルは ”ぬすまれた放課後” に改題)。書店で漫画を見つけた時は、少女漫画コミックだった事もあり、少し、買うのが躊躇われました。原作と、ラストシーンが変わってしまっていたり、違いがあるのですが、漫画の方も心に残る作品でした。

 

この本は、今でも時々、読み返して、学生時代の思い出にふけったりしています。それでは、いずれ また、赤川次郎さんの本で、ブログを書いてみたいと思います。